LP RUNNING GUIDE

分析・改善ガイドライン

数字を眺めるためではなく、「次に何を直すか」を毎週ひとつ決めるための手順書です。

作成日 2026-08-02 対象 LPの運用担当者 使うツール GA4/Microsoft Clarity/LINE公式アカウント

01はじめに ― 3つの原則

アクセス解析ツールを入れると、数字は無限に見られるようになります。しかし見る数字を絞らないと、結局なにも決まりません。このガイドラインでは「見る数字」「見る頻度」「どうなったら何をするか」を先に固定します。

1
主要CVは1つだけにする
2つあると、片方が伸びて片方が落ちたときに、成功なのか失敗なのか判断できなくなります。
2
1回に直すのは1箇所だけ
同時に3箇所直すと、効いたのがどれか永遠に分かりません。遠回りに見えて、これが最短です。
3
業界平均ではなく先月の自分と比べる
業界平均は集計元も条件もバラバラで、判断の材料になりません。基準は自社の過去です。
このガイドラインの使い方

まず 3章の週次ルーティン(15分)だけを回してください。それ以外の章は、週次で詰まったときに参照する辞書として使います。最初から全部やろうとすると続きません。

02見る指標を絞る

最重要指標

MOST IMPORTANT

主要CV件数(月) = ________(LINE友だち追加/お問い合わせ/ご予約 のいずれか1つ・要決定)

最終的には、これが増えたかどうかだけが成果です。以下の指標はすべて、これが増えない理由を突き止めるための道具にすぎません。

ファネル ― LPを4段に分けて見る

LPの改善は「デザインを良くする」作業ではなく、4段のうちどこで人が減っているかを見つける作業です。落ちている場所によって、直すものはまったく変わります。

STEP 1
人が来る
セッション数
STEP 2
読まれる
スクロール50%到達率
STEP 3
ボタンが押される
CTAクリック率
STEP 4
完了する
CV率

補助指標

指標どこで見るか何のために見るか
流入チャネル別のCV率GA4 → 集客どの流入が良質か。数が多い=良い、ではありません
デバイス別(スマホ/PC)GA4 → ユーザー属性LPの主戦場はスマホ。スマホのCV率で判断します
LINEの友だち追加経路LINE公式アカウントLP経由の友だち追加が実際に何件あったか
録画・ヒートマップClarity数字だけでは分からない「なぜ」を確認する

03週次ルーティン(15分)

重要

毎週かならず同じ曜日に実施してください。曜日がずれると、前週との比較が歪んで判断できなくなります。

#やること所要見る場所
1直近7日 と 前7日 を比べて、4段の数字を記録する5分GA4
2一番落ちている段をひとつ特定する2分2章の図
3その段に該当する録画を3本見る5分Clarity
4「来週直す1箇所」を決めて記録する3分7章の記録欄
POINT

週次の成果物は「今週の数字」ではありません。「来週直す1箇所」です。数字を記録するだけで終わると、3週間ほどで続かなくなります。

比較の作り方(GA4)

04月次ルーティン(60分)

#やること見る場所
1月次のCV件数・CV率を記録し、前月と比較するGA4
2流入チャネル別のCV率を比較。CV率の高いチャネルに寄せるGA4 → 集客
3スマホとPCのCV率の差を確認。差が2倍以上ならスマホ側に問題がありますGA4
4Rage click(怒りクリック)・Dead click(無反応クリック)を確認するClarity
5LINEの友だち追加数と、LP上のボタンクリック数を突き合わせるLINE/GA4
6今月やった改善と、その前後の数字を振り返る7章の記録
7来月の重点をひとつ決める

LP側とLINE側を必ず並べて見る

見る場所分かること
GA4の line_clickLP上でボタンが押された回数
LINEの追加経路実際に友だちになった
この2つの差が示すもの

「押したけれど、友だち追加はしなかった人」です。ここが大きいなら、ボタンの文言と、押した先で起きることがズレています。片方だけ見ていては絶対に気づけません。

05判断基準 ― どこが落ちていたら何を疑うか

上から順に見て、最初に引っかかった段を直します。下の段から直しても効きません。

落ちている段症状疑うこと打ち手の例
① セッション そもそも人が来ない 露出が足りない(SEO・広告・SNS・紙の導線) 流入施策を打つ。LPを直しても解決しません
② 読まれない ファーストビューで帰ってしまう 流入元の期待と、最初の画面の見出しがズレている 広告文・検索キーワードとキャッチコピーを揃える/FVの画像と見出しを差し替える
  中盤で落ちる 読み始めるが最後まで行かない 情報が多すぎる/読みにくい/根拠がない 段落を削る/実績・事例・料金を先に出す/画像で分かるようにする
③ 押されない 読了率は高いのにクリックが少ない 不安が残っている(料金・所要時間・しつこく営業されないか)/ボタンが目立たない ボタン直前に「無料」「1分で完了」「営業はいたしません」等を置く/文言を具体化(「送信」→「無料で相談する」)/ボタンを追従表示にする
④ 完了しない クリックはあるのに完了しない 遷移先とのギャップ/フォームが長い/スマホで操作しづらい フォーム項目を削る(目安5項目以内)/追加後に何が起きるかをボタン付近に書く/入力補助を入れる

「その差は意味のある差か」の判断

状況判断
CV件数が週10件未満1〜2件の増減は誤差です。数字ではなく、Clarityの録画で判断してください
CV件数が週30件以上前週比±20%以上の変化なら、原因を探す価値があります
変化した日が1日だけ施策の効果ではない可能性が高い(外部要因・ボットを疑う)

06Clarityの使い方 ― 数字の「なぜ」を見る

役割分担

GA4は「どこで落ちたか」しか教えてくれません。「なぜ落ちたか」はClarityで見ます。

見るべき録画の選び方(全部は見ない)

知りたいこと絞り込み条件
FVで帰る理由滞在10秒未満のセッション
中盤で落ちる理由スクロール30〜70%で終わったセッション
ボタンが押されない理由CTAまで到達したがクリックがないセッション
操作の不具合Rage click あり(同じ場所を連打=反応しないボタン)

1回に見るのは3〜5本まで。それ以上見ても、判断できることは増えません。

ヒートマップの見方

種類見るポイント
クリックマップ押せない場所が押されていないか。画像やテキストがボタンだと誤解されているサインです
スクロールマップ大事な情報が「読まれる範囲」に入っているか。ボタンが誰も届かない位置にないか
やってはいけない
  • 自分のセッションを見て判断しない。中身を知っている人は迷わないので、参考になりません
  • 1本の録画で結論を出さない。同じ挙動が3本続いて、はじめてパターンです

07改善の回し方と記録

回し方

仮説を1つ立てる
1箇所だけ直す
最低2週間そのまま
前後を比較して記録

記録フォーマット(毎回これを埋める)

実施日
気づき(数字)
気づき(録画)
仮説
変更した箇所(1箇所のみ)
変更前の数字
セッション / 読了率 / クリック率 / CV件数・CV率
観察期間(2週間)
変更後の数字
セッション / 読了率 / クリック率 / CV件数・CV率
判定
改善 ・ 悪化 ・ 判断不能(件数が少なく比較できない)
次にやること
大切なこと

「判断不能」も立派な結果です。件数が足りないのに無理やり「効いた」ことにするのが、いちばんよくありません。

08やってはいけないこと

#やりがちなことなぜよくないか
1毎日GA4を見る日々の増減はほぼ偶然です。判断できないのに不安になるだけで、続きません
2同時に複数箇所を直す何が効いたのか分からず、次の判断材料が一切残りません
3セッション数の増加を成果として報告するCVが増えていなければ、質の悪い流入が増えただけです
4業界平均のCV率と比べる集計条件が不明で比較になりません。先月の自分と比べます
5自社のアクセスを除外していない関係者のアクセスが数字の大半を占めてしまいます(設定済み・確認は制作側で対応します)
6PCで確認して判断するLPの主戦場はスマホです。スマホの数字と実機で判断します
7数字が悪いとLPだけを疑う①セッションが足りないなら、LPをいくら直しても増えません
8件数が少ないうちにA/Bテストを始める差が出ても偶然と区別できません。開始の目安は月2,000セッション かつ 月30CV が3ヶ月継続

093ヶ月の運用スケジュール

1ヶ月目
計測が正しく動いているかの確認と、ベースライン(基準値)の記録。この期間はあえて改善しません。
2ヶ月目
ファネルの一番弱い段を特定し、月2回の改善を回します。
3ヶ月目
流入チャネル別のCV率をもとに、どこに投資するかを判断します。
なぜ1ヶ月目に改善しないのか

比較する基準がない状態で直しても、効いたかどうかを永遠に判断できないからです。急がば回れで、最初の1ヶ月は「測ることに徹する」のが結果的に最短になります。

10用語集

用語意味
セッション訪問1回。同じ人が翌日また来れば2セッションと数えます
CV(コンバージョン)達成してほしい行動。この案件では _____(要決定)
CV率CV件数 ÷ セッション数
キーイベントGA4上でCVとして設定した行動の呼び名
ファネル訪問からCVまでの段階。各段でどれだけ残るかを見ます
CTACall To Action。「無料で相談する」などの行動を促すボタン
ヒートマップクリックやスクロールの量を色の濃さで可視化したもの
Rage click同じ場所を連打すること。反応しない要素があるサインです
Dead clickクリックしても何も起きない場所への操作
FV(ファーストビュー)ページを開いた瞬間に、スクロールせずに見える範囲